Martin D-28 弦高調整のご依頼

弦高調整のご依頼です。

演奏スタイルがフィンガーピッキングでハイポジションを多様したいが弦高が高くて弾きにくいので弦高を下げてほしいという要望でした。

 

ネックコンディションは弦高が6弦12フレットで4.0mm、1弦12フレットで3.1mmありました。チューニングした状態で順ゾリ、矢高の最大値が9フレットで0.5mm、弦を緩めても僅かに順ゾリしていました。Martinにありがちなコンディションです。トラスロッドの状態は現在値がニュートラル状態から時計回転方向に90°残り可動域が240°ありまだ調整の余地がありました。C.W.へ120°でチューニングをして僅かに順ゾリという状態です。トラスロッドの調整余地を残してほしいという要望でしたので。残りはC.W.へ120°の状態にしました。

この状態で6弦12フレットで3.0mm、1弦12フレットで2.1mmまで下がりました。ご要望は6弦12フレットで2.5mm、1弦12フレットで1.5mmでしたのでサドル高を下げて調整を試みましたがバズが出たのでサドル高での調整はできませんでした。トラスロッド調整ではここまでした。数値では1.0mmの変化ですが弦テンションは下がってますので以前よりはかなり弾きやすくなりました。

Martinらしい音でした。ドレッドノートらしい深みがありました。と文字で表現するにはむずかしいですね。個人的にとても好きな音質です。国産でコピーモデルがいくつかありますがボディー形状が同じでも音質は違いますね。それはそれでいい音ですがMartinとは違いますね。コンディションの維持と言う面では国産ギターはメリットがあります。手のやく子は可愛いともいいいますし、そこはそれぞれの価値観ということになりますかね。

 

これよりもさらに弦高を下げるには別のアプローチになります。一つには指板を削る方法があります。0フレット側を薄くしてネック元起き分を相殺するという考えです。しかしむやみに指板を削れないので限度があります。そして一つにはネックリセットです。ネックをボディーから取り外してネックとボディーの接着面の角度を補正してネック元起き分を相殺するという方法です。この方法は指板を削る方法よりも弦高を下げることができます。しかしながらネックを一度外すわけですから音質が微妙に変化することもあります。

1934年に14フレット・ネック・ジョイントのD-28が52台誕生しました。製造初年度のスペックは表板にアディロンダック・スプールスが使用されています。Xブレーシングのクロス位置はサウンドホールから1インチです。そもそもこの位置ですからフォーワード・シフテッドと言う用語は80年代?基準ですかね?又、インフォースバーのトップ側にトップ・プレート・ブレースがありませんでした。1935年にカタログに登場して100ドルでした。

余談ですが日本は昭和10年です。翌年、作詞:門田ゆたか氏、作曲:古賀政男氏、歌:藤山一郎氏による「東京ラプソティー」がヒットしたそうです。YouTubeで聞くと明るい良い感じの曲です。エレキギターのリフが入っています。いつ録った音源かわかりませんが。

2022年09月08日