リペア例
樹音では各種ギターのリペア(修理)を行っています。リペア例を掲載しました。
ナット交換・ミゾ深さの調整
ナット交換依頼のリペア例です。
ナットがすり減ってくると開放弦の音がバズったり、変な音がします。ビビッたりびょーんといった間の抜けたかんじですね。
ローフレット(1フレット~5フレットぐらい)が押さえにくい原因にナットミゾの高さ調整が不適切な場合があります。弦高が必要以上に高いということですね。指が痛いなんてことも弦高の高さが原因してますね。調整することで弾きやすくなります。なんか上手くなったかな!?と思ったりもしますね。
ナットは消耗品です。弦高が低くなりすぎている場合は交換をおすすめします。
ナットの材質にはいくつか種類があります。牛骨が主流ですが廉価のギターにはプラスチック製が使われている場合が大半をしめています。牛骨製に交換するだけでも音質の輪郭に張りが出たりします。それだけでも弾いていて楽しいですね。ちょっとしたグレードアップ!ですね。
サドル交換・弦高調整
サドル交換依頼のリペア例です。
ハイポジションでのバレーコードが押さえにくいことってありますよね。!例えばアコーステックギターで6弦12フレットでフレットの頂点から弦の間が2.5mmぐらい、同じく1弦12フレットで1.5mmぐらいでであればまあまあ良いかなってかんじなんですが、6弦側で3mmにもなるとかなり弾きにくいですよね。!
弦高が高くなった原因はいくつか考えられます。ひとつにはネックが順ゾリに強く動いた場合がありますね。この場合は、トラスロッド調整で対処できます。
そもそも高い場合は、サドルを削って調整し、好みの目標の高さに合わせます。
ときどきありますが、年代の古い(1970年代ぐらい)国産のギターでブリッジの下側がうっすらと膨らんできてるものがあります。これはブリッジも一緒に浮いてきてる状態ですね。こうなると弦高は高くなりますね。合わせてこの年代のギターはネック角が90°ぐらいでそもそも弦高は高めに作られているものが多いですね。さらにネックの順ゾリも大きいとなるとこれはもう・・・。サドルを削って調整してもサドルはブリッジから1mmも出てればいいほうですね。でもこれだとこのギターが持ってる本来の響きはもはや期待できませんね。
じゃ、どうするの?それは又別のリペア内容で・・・to be continued
では調整の意味はわかりますがサドル交換?の必要性ってなに?ってなりますね。
経年劣化でしょうか?サドルがびみょうに痩せてサドルミゾとの隙間ができてしまってることがあります。サドルがヘッド方向に傾いています。こうなると音響的な影響は弦のテンションが正常な状態と比べると弱いということになりますね。ギターが持っている本来の響きが出てないということですね。そうは言っても聞き比べてわかる?かな?・・・。でもオクターブがズレてることにはかわりありませんね。本来のスケール長より微妙に短いわけですから。
そう考えるとサドル交換のメリットはありますね。まっ、サドルが傾いているのはいかがなものか?見た目も大事ですよね。
ご自身のギターはどうでしょうか?
追記 ナットの記事でも触れましたが、材質の違いによる音質への影響はあるとおもいます。牛骨が主流ですが人工象牙というのもあります。メーカーは天然素材に比べバラツキがなく振動の伝導効率がよく倍音が増えて豊かなトーンがえられると言うことです。いいかもしれませんね。!と私も思って変えてみたことがあります。結果はうーんよくなった!と自分に言い聞かせました。でもまんざらでもなかったです。ただ経年変化でなんでか?茶色くなりました。けっして悪いものではありません。 一度、交換されて試してみられるのもありですね。
フレット交換
フレット交換と弦高調整の依頼のリペア例です。
フレットがすり減って凹みができています。指板にも凹みが見られます。指板のねじれもあります。
弦高も現状より低くしたいという依頼です。現状12フレットの6弦で3.6mm、1弦で3.3mmあります。これでは弾きづらいですね。
ネックコンディションはチューニングをして大きく順ゾリしています。弦を緩めてもやや順ゾリしています。トラスロッドをMAX効かせてチューニングした状態でもやや順ゾリしています。この状態で12フレットの6弦で2.7mm、1弦で2.2mmです。動きやすいネックです。サドルには1mmぐらいしか削る余裕はありません。ネック角は91°でブリッジ下に僅かに膨らみが出ています。
以上のことを考慮し、指板の凹みも修正してほしいという依頼でしたので0フレットにめがけてテーパーをかけて指板を削ります。トラスロッドは9フレット近辺で一番効いていますのでそのあたりも考慮します。
修正後の弦高は12フレットの6弦で2.5mm、1弦で1.7mmまでに調整できました。ネックコンディションはほぼ真っ直ぐです。指板の凹みもなくなりました。修正後のトラスロッドはニュートラルな状態ですので今後のネックの動きにも対応可能です。
指板を削るということはネックがその分薄くなります。演奏スタイルによってはちょっと???ってこともあり得ます。音質の変化も有りえます。(そのあたりがわかる人はすごく耳がいい人ですね)リペア依頼の際、こう言ったデメリットも詳しく説明いたします。
今回リペア後、響きも良くなりマホガニー特有の音が出てきました。
フレットにはいくつか種類があります。お好みに合わせて選ぶこともできます。
フレットの巾や高さで音質やご自身の演奏スタイルに合わせることもできます。
交換の際、ご相談ください。
フレットのバリ取り
バリ取りの依頼のリペア例です。
フレットの端に数ヶ所、バリが残っていました。バインディング有りの指板の場合、タング端の切りかけの処理が少なすぎるとバインディングの側面が浮き上がったり、ヒビが入ったりします。逆に多すぎるとフレットの端が浮いたりします。又、指板の経年変化でフレットに影響が出る場合もあります。
サドルミゾ埋め・再加工
サドルのミゾ埋め・再加工とありますが、どうしてそんなことしなくちゃならないの!?ですよね。
オクターブ調整って聞いたこととかありませんか?簡単に言うと5弦開放弦でA(ラ)440Hz、とした場合同じく5弦で12フレットは1オクターブ上ということになります。この開放弦と12フレットがズレていることをオクターブ音痴なんて言われ方をしています。
アコースティックギターはエレキギターのように微調整機能がありませんからリペアマンによってはサドルのわずかな厚さ上で微調整されているかたもいらっしゃいます。けっして間違いではありません。それもありだと思っています。私も試しに何度かやってます。でも完璧にはちょっとやそっとでは・・・ですね。
オクターブ調整の前提としてネックコンディションの調整ありきと考えています。ひとえにネックコンディショと言いますがギターによってはネックの動きがまちまちです。天候、温度、湿度は毎日違います。このギターのネックはどの程度動くのだろうか?どのあたりで調整して良しとするのか? 日々、ゲージをあててソリ具合を確認し、トラスロッドの位置と効き具合を確かめて根気よく様子を見ながら調整していきます。
日々、微妙にネックは動いています。つまりは完璧なオクターブ調整はかなり難しいですね。
ミゾ埋め・再加工が必要になるケースは微妙なズレではなくて明らかにズレてる場合にミゾを埋めてオクターブが合ってる位置にミゾを再加工し直すということになります。
長々となりましたがじゃどうして?明らかにズレちゃったの?ということですが・・・。 それは又別のリペア内容で・・・・・・to be continued
追記 ギブソン J-45 J-50 1960年代でアジャスタブルサドルのギターがあります。音質がちょっとジャリッていうかんじがあって人によってはちょっとそれは無理かな?と思われてアジャスタブルサドルから普通の一般的なサドルに変更されたいというかたもいらっしゃいます。そういった場合もミゾ埋め・再加工ということになりますね。
ペグの交換
ガットギターのペグ交換依頼のリペア例です。
ギターを転倒された際にペグのシャフトが曲がっしまった様子です。シャフトだけの交換はできないのでペグ一式の交換になります。元のペグのつまみはマーブル調のものですが新しいものは白蝶貝調の模様です。金具も新しくなり輝いています。グレードアップされました。元のペグも新しいペグもGOTHO製です。気持ちよくチューニングできます。
下の画像はアコースティックギターのペグ交換例です。このペグもGOTHO製です。フラッグシップの510シリーズです。個人的な見解ですが、チューニングの感覚が油の中に浸したタコ糸をゆっくり引き上げるような感じです。???ですね。えっと。上手く表現できませんが、油は粘度があって水のようにサラサラしていませんね。その粘りが弱すぎず強すぎずのいい感じの抵抗なんです。ペグを回す指の力のブレを吸収してくれるような感じです。まっ、簡単に言えば、めっちゃチューニングしやすくて気持ちいいということなんです。
ペグの交換はチューニングが安定せず困ってる方やギターの装いを変えてみたい方におすすめです。手軽にギターの性能も雰囲気もグレードアップできます。
おしゃれは足下から、ギターは・・・・・・。
ペグ取付け穴の修正
ペグのゆるみ補修依頼のリペア例です。
ペグの取付けが緩んでくるとチューニングの際にガタガタします。さらにペグがヘッドから浮き上がって隙間ができてしまいます。
そうなるとペグ穴を埋木で塞いで穴加工をする必要がありますね。
原因ですが長年の使用によって取付け穴が緩んできたということが考えられます。が、10年以上もっとでしょうね。このギターは1970年代の国産品です。
ペグを何度も交換した場合も緩んでくると思います。
しっかり埋木をして修理すれば緩みもなくチューニングも安定します。
画像は取付け穴が大きく変形していたのでエポキシを使用して補修しています。
ブリッジの浮き・はがれ補修・交換
ブリッジのはがれの補修依頼のリペア例です。
アコースティックギターのブリッジには80Kg~60Kgの大人がぶら下がってるくらいの力が加わっていると言われています。経年変化でブリッジとの接着面に隙間が出て浮いたり剥がれてくるということがあります。
トップ板とブリッジとの接着面に塗装がされているなんて場合もあります。通常は塗装の際に接着面にマスキングをします。それにより木地と木地との接着になり強度が保たれます。塗装面の上に接着されてある場合は浮いたり剥がれやすくなりますね。
ブリッジ交換は現在ついているものと同じ形状の場合は塗装を剥がす必要はありませんが、 形状が異なる場合は塗装の剥しや補修が必要になります。 ご自身でデザインされたブリッジへも変更できます。
ピックアップの交換
ピックアップ交換のリペア例です。
57classicからDIMARDIO DP100 DP103への変更です。お客様お持ち込みパーツでしたので通電を確認させていただいてから作業開始です。位相も確認します。ハンダ付けの熱でコンデンサーが破壊されないようにクリップで保護して気をくばって作業します。組み付け後ピックアップの高さを調整して終了です。あたりまえですね。
音質はもちろんですが外観もボディーのカラーとピックアップのカラーがお互いを引き立たせてかっこいいですね。
再塗装(リフィニッシュ)
ボディのリフィニッシュ(再塗装)のリペア例です。
木地の表面処理を凹凸なく整えてからサンディングシーラーを行います。
メイプル指板のフレット交換
メイプル指板のフレット交換のリペア例です。
メイプル指板には塗装が施されています。フレット交換の際には指板面の再塗装が必要です。
フレット擦り合わせ
通常のニッケルシルバー製のフレットは弾き込んでいくとすり減ってきます。目視でもわかると思います。バズ音が出てきたりびょ~とした音ができきたらフレットが消耗してきたと思って下さい。ネックコンディションの変化でも出てくることがあります。
バズ音が出てきたらフレットの摺り合わせをしてフレットの上部(クラウン)の摩耗部分を削ってそれぞれのフレットの高さが等しくなるように成形します。ただし、摺り合わせは何度もできないのでどこかの段階でリフレット(フレットの交換)が必要になります。
トラスロッドの調整
ネックが順ゾリまたは逆ゾリした場合、トラスロッドで調整できます。
ネックリセット
弦高調整がサドルやトラスロッドでの調整で対応できない場合はネックが起き上がっていることがあります。
ネックをボディーから外してネック角の調整で対応できるケースもあります。
ネック折れの修理
黒檀を埋木に使って補強しています。この後、塗装を施します。
ネック亀裂の補修
ネック根元の接着が剥れて亀裂が入ったように見えています。もともとこのネックはこの部分で接着されている構造です。再接着にて対処します。
接着後、弦を張ってしばらく様子をみます。異常がなければ補修は修了です。
ブレイシングの剥がれ修正
剥がれている箇所の周囲をマスキングしタイトボンドを流し込みます。ジャッキで圧着し固着させます。
ネック角の修正
弦高が高く、ネックコンディションも順ゾリでトラスロッド調整もできず且つサドルも低くこれ以上削れません。
ネックをリセットしネック角を修正することになりました。
ポジションマークの交換
指板の交換依頼でポジションマークは再利用されたいということでしたので、取り外している画像です。
バインディングの剥れ修理・交換
ピックガード交換
指板調整(すり合わせ)
ネックのソリがトラスロッド調整では治らない場合やネックがねじれてしまった場合、指板を研磨して状態を整えます。
この場合、リフレットも必要です。
指板交換
指板に凹くぼみができると弾きにくかったり、見栄えが悪かったりします。
指板のすり合わせでも修正できない場合は指板交換で対応できます。
リフレットを数回行っているギターはフレットのミゾが広くなっています。
フレットが浮いていたりミゾとタング幅が合わない場合は指板交換で対応します。
ピックアップ取付け
ストラップピン取付け
表板の交換
表板に亀裂が入り、浮き上がって変形しているので交換することになりました。表板に補助バーを貼り付けている画像です。