Vrai AG ナット交換のご依頼
アコースティックギターのナット交換のご依頼です。
ナット交換の際、ご依頼主様のご要望に沿って材質を選んでもらってます。概ね、牛骨で漂白された白いタイプ又はオイル浸けされて黄色みのあるものです。「TASQ(タスク)」と言って人工象牙の材質も選べます。その昔、ナットの素材が象牙で作られていました。ご存じのとおり現在では新たに象牙を採取することは御法度です。限りなく象牙の細胞に近い状態までナノレベルで分子構造を構築した素材を人工象牙と言ってるようです。とても雑な説明ですがこんなかんじです。音の減衰が長く続くという特徴があるそうです。いわゆるサスティーンっていうやつです。人工素材でビンテージギターの音に近づけようというそういった目的です。
今から80年ぐらい前に作られたギターを「プリウォー」と言われ大変貴重なものになっています。「このギター、プリウォーなんです。」なんてそのまんま言われてます。いわゆる「ビンテージ・ギター」です。この頃のギターにはナットやサドルに象牙がピックガードには鼈甲とかが惜しみなく使われています。
余談ですがMartin社では1941年~1945年の戦時中の生産台数が約18,000台、1946年から1950年までで約25,000台でした。戦時中でも平均年間3,600台作っていたわけです。物資統制下といえどもギターを作れていたわけです。ちなみに現在では2017年~2022年の5年間で約550,000台、年間平均110,000台がMartin社で作られたようです。桁違いですね。
この度はリペアのご依頼をいただき誠にありがとうございました。