Takamine TDP181AC 全体調整のご依頼
ハイポジションを弾きやすくしたい又、ナットの形状を変えたいというご依頼でした。
全体調整はまず、現状を確認します。弦高とネックコンディションの状態からご依頼の内容を考慮して調整を行います。
手順1.弦をゆるめた状態でのネックコンディションと弦高を確認します。
手順2.トラスロッドにてネックを真っ直ぐか僅かに順ゾリに調整します。又、弦を張った状態とゆるめた状態でのネック変化量の考慮が必要です。トラスロッドがない場合やロッドがMAXに廻されている場合は調整不可です。この場合は指板を削っての調整になります。
手順3.ナットの溝の深さを確認します。調整が必要であれば行います。フレット摩耗量を考慮して判断します。
手順4.12フレットでの弦高を確認してサドル高さの調整量を考察します。サドルの切削量がない場合は指板からの調整になるか又はネックリセットになります。
手順5ボディー内のホコリを除去します。
手順6.指板とフレットを研磨し指板にWAXを塗布します。ます。指板研磨は指板の種類によっては行わない場合もあります。
手順7.ペグに緩みがないか?確認します。
手順8.弦を張ってネックコンディションと弦高をチェックします。
手順9.バズ確認(音詰まり)をします。
手順10.最後にボディーをクリーニングします。
ピックアップが搭載されている場合はチェックします。エレキギターの場合は電装類のチェック、オクターブ調整、トレモロユニットのバネ調整などを追加して行っています。
今回、ナットの形状も側面から見て台形の状態をペグ側に「R」をとって6,5,4弦がナツト溝より弦の太さより1/3程度出る様に調整しました。
「エレアコ」最近では聞き慣れてなんの違和感もなくなりましたね。
今から48年前のことになります。静岡県掛川市で大規模な野外コンサートがありました。現在の「フェス」の元祖みたいなものです。全国から若者が5万人とも8万にとも集まったと言われて伝説になっています。当時は今みたいなセキリュティー体制もなくカオスな状況だったと思います。「朝までう歌うぞぉー」と陽が昇るまで夜通しでやってました。現在では有り得ない事態です。それゆえになんか楽しそうに思えます。
当時、まだピエゾ(圧電センサー)というものがなく、コンタクトピックアップをテープで止めてアコギのボディーに貼付けてました。今となってはなんか雑なかんじがします。その後、オベーションというヘリコプター会社の子会社的なメーカーがボディーにガラス繊維強化プラステックを使ってお椀のような形状にして「エレアコ」を世に送りました。「アダマス」という機種を始めて見たときは衝撃的でした。アコギでもなくエレキでもない音を当時はどのように感じていたのか?気になります。
その後、「Takamine」がパラステックピックアップを搭載したエレアコを開発し国内外アーティストから高い評価を得ました。オベーションは胴鳴りを抑える方向性で開発されたようですがTakamineは生の鳴りをガンガン出してもハウリングしないという方向性でした。生ギターとしてのクオリティーを高めてエレアコを完成させるというところが高い評価に繋がったのではないでしょうか。
その後ピエゾとかいろいろとアコギ用のピックアップが開発され現在に至っています。詳しくは又、別の機会にします。
この度はリペアのご依頼をいただき誠にありがとうございました。