Fender スターキャスター 修復のご依頼

1976頃のスターキャスターです。斬新なモデルで1976年から1980年当時の生産数も少なかった為、現存している個体が少なく、大変貴重なギターになっています。

 

修復内容
1.ボディーリフィニシュ(サンバースト)
2.サドル交換
3.ナット交換
4.フレット摺り合せ
5.コントロールポット交換
6.セレクトスイッチ交換
7.アウトプットジャック交換
8.配線材引直し


このギターはご依頼主様が廃棄物処理場で出くわされたそうです。「発見」されたというかんじです。たまたまギターを弾かれる人がそこの場所にその時間に処理される寸前にと考えると不思議なパワーを感じます。お持ち込みされた際はボロボロで音もなにもそれどころではありませんでした。それゆえに廃棄されたのかもしれません。いろいろなご事情もあったと思います。しかしながら、ギターの価値のわかる方に出くわすこのギターの持つパワー、修復して復活させようとするご依頼主様の「ギター愛」、今後、このギターがどんな道を歩んでどうなるのか?計り知れませんが、なにかとんでもない素敵な未来に出くわしたようなかんじがしました。

オリジナルの状態で保存するという価値観があります。それはそれでいいと思います。しかしながら弾けない状態で保有していてもどうかな?という考えもあります。音もでない、ボディーは腐食してなんかネバネバしたりもしている状態では弾けません。今回、修復で普通に演奏可能状態になりました。プレイヤーコンディションに復活しました。このギターは弾かれることを望んでいたと思ってます。それゆえにこうして私たちの前に現れたのではないでしょうか?賛否両論あるとは思います。現在の音はオリジナルの時とは違う音を発していると思います。この音は復活して未来に向けてなにか新たなるものを作り出す音だと思います。

作業期間は2023年5月から8月、ご依頼主は能登の方です。この記事を書いている現在、2024年1月です。多くの方が被災され厳しい状況の中で苦難されていると思います。普通の日常が一日も早く復活できることを少し離れた高岡から思いを込めて祈っています。

この度はリペアのご依頼をいただき誠にありがとうございました。

2024年01月23日